飲食店のM&A・事業承継|後継者不足を乗り越える売却・買収の知識

はじめに

オーナーの皆様、日々の店舗運営、本当にお疲れ様です。厨房で汗を流し、お客様の笑顔のために尽力する傍ら、経営という重責を担う皆様の奮闘には、頭が下がるばかりです。私もかつては現場で指揮を執り、そして店舗を拡大していく中で、経営の悩みは尽きないことを痛感してきました。売上は上がっても利益が伴わない、SNSでの集客方法が分からない、優秀なスタッフが育たない――そうした不安を抱えながらも、お店への「想い」を胸に、走り続けていらっしゃるのではないでしょうか。

飲食業界は、その魅力的な一方で、常に変化と課題に直面しています。特に近年、多くのオーナー様が直面しているのが「後継者不足」という切実な問題です。大切に育ててきたお店を、誰に引き継ぐのか。この問いは、未来の経営戦略を考える上で避けて通れません。

そこで今回、皆様にお伝えしたいのが、飲食店の「M&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)」と「事業承継」という選択肢です。これらは、単なる事業の売買にとどまらず、皆様の築き上げてきたお店の「価値」を最大化し、未来へと繋ぐための重要な戦略となり得ます。

この記事では、M&Aや事業承継が初めての方でも理解できるよう、その基本から、売却・買収を検討する際の具体的な実践方法、さらには成功のための心構えまで、現場上がりの先輩オーナーとしての視点も交えながら、分かりやすく解説してまいります。皆様のお店の未来を拓く一助となれば幸いです。

飲食店におけるM&A・事業承継の現状と若手オーナーが知るべき理由

後継者不足は他人事ではない

現在、日本の中小企業の多くが後継者不足という深刻な課題を抱えています。飲食業界も例外ではありません。帝国データバンクの調査によれば、休廃業・解散した飲食店のうち、半数以上が後継者難を理由としています。長年地域に愛されてきた名店が、オーナーの高齢化や体調不良、そして後継者が見つからないために、やむなく閉店していくケースが後を絶ちません。

「うちはまだ若いから関係ない」と思われるかもしれません。しかし、この問題は、決して遠い将来の話ではありません。店舗数が増えれば、経営の複雑さも増し、ご自身が高齢になった際に「誰に事業を引き継ぐか」という問題が、より現実的な課題として浮上してくるでしょう。

また、飲食業界特有の労働環境や、一朝一夕には身につかない技術・ノウハウの多さも、後継者探しを難しくしている要因です。

若手オーナーがM&Aを知るメリット

では、若手オーナーである皆様にとって、M&Aや事業承継の知識はどのように役立つのでしょうか。

  1. 売却側としての選択肢の拡大:
    • 計画的なEXIT戦略: 万が一、経営方針の転換やライフプランの変化があった際に、お店を「たたむ」のではなく、「売却」という形で次世代に引き継ぎ、新たな資金や時間を手に入れることができます。これは、事業を計画的に終え、次のキャリアへ移行するための重要な選択肢です。
    • 事業の永続性: 大切に育てたお店やブランド、従業員、そしてお客様をM&Aによって引き継いでもらうことで、ご自身の「想い」を未来へ繋ぐことが可能です。
    • 負債・個人保証からの解放: 不採算店舗の売却や、事業からの撤退時に、個人保証などの重荷から解放される道が開けます。
  2. 買収側としての成長戦略の加速:
    • 多店舗展開の足がかり: ゼロから店舗を立ち上げるよりも、既存店を買収する方が、内装工事費などの初期投資を抑え、すでに構築された顧客基盤やブランド、従業員、ノウハウを一度に獲得できるため、事業拡大のスピードを格段に速められます。
    • 新規事業・業態への参入: 異なる業態の店舗を買収することで、新たな顧客層の開拓や、事業ポートフォリオの多角化を図ることができます。
    • 人材・ノウハウの獲得: 経験豊富なスタッフや、特定の分野に特化したノウハウを持つ店舗を買収することで、自社の弱みを補完し、競争力を強化することが可能です。

M&Aは、単に「お金のため」という視点だけでなく、事業の成長、未来への継承、そしてご自身の人生設計において、非常に有効な戦略となり得るのです。

M&A・事業承継の基本を理解する

M&Aと事業承継は混同されがちですが、それぞれの意味合いを正確に理解することが重要です。

M&Aとは何か?事業承継との違い

  • M&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収):
    広義には、企業の合併や買収全般を指します。飲食業界においては、ある飲食事業を別の飲食事業者に売却・譲渡することや、逆に買収することを意味します。主に、第三者(親族や従業員ではない外部の個人・法人)との間で事業の移転が行われるケースを指すことが多いです。
  • 事業承継:
    現経営者から後継者へ、事業(経営権、資産、負債、ノウハウ、従業員、取引先関係など)を計画的に引き継ぐことを指します。事業承継には、主に以下の3つの形態があります。
    1. 親族内承継: 自身の子供や親族に事業を引き継ぐケース。
    2. 従業員承継: 会社の役員や従業員に事業を引き継ぐケース。
    3. M&Aによる承継: 親族や従業員以外(第三者)に事業を引き継ぐケース。

つまり、M&Aは事業承継の「一つの手段」として位置づけられます。特に後継者がいない場合や、より良い条件で事業を引き継ぎたい場合に、M&Aが有効な選択肢となります。

株式譲渡と事業譲渡

M&Aにおいて、事業を譲り渡す主な方法として「株式譲渡」と「事業譲渡」があります。それぞれの特徴を理解しておきましょう。

  1. 株式譲渡:
    • 内容: 会社が発行している株式を買い手に譲渡することで、会社の経営権ごと移転する方法です。
    • メリット(売り手側):
      • 手続きが比較的簡便で、スピーディーに完了しやすい。
      • 売却益は原則として株式の譲渡所得となり、税率が低い傾向にある(約20%)。
      • 個人の連帯保証などを解除しやすい。
    • デメリット(売り手側):
      • 会社そのものを売却するため、過去の簿外債務や偶発債務など、潜在的なリスクも買い手に引き継がれてしまう。
    • メリット(買い手側):
      • 既存の許認可や契約関係をそのまま引き継げるため、事業開始がスムーズ。
    • デメリット(買い手側):
      • 売り手側と同様に、潜在的なリスクも引き継ぐため、入念なデューデリジェンスが必須。
  2. 事業譲渡:
    • 内容: 会社の事業の一部または全部を、個別の資産や負債、契約などを指定して買い手に譲渡する方法です。会社そのものは存続します。
    • メリット(売り手側):
      • 売りたい事業だけを切り離して売却できる。
      • 簿外債務などのリスクは基本的に会社に残るため、リスクを限定できる。
    • デメリット(売り手側):
      • 個別の資産や負債、契約の移転手続きが必要で、手続きが煩雑になりやすい。
      • 売却益は会社の利益となり、法人税が課税されるため、税負担が大きくなる可能性がある。
    • メリット(買い手側):
      • 必要な資産や負債だけを選んで引き継げるため、リスクを限定できる。
    • デメリット(買い手側):
      • 許認可の再取得や、取引先との契約を新たに結び直す必要がある場合がある。
      • 消費税や不動産取得税などの税金が発生する場合がある。

ご自身の店舗の法人形態や、事業の状況によって、どちらのスキームが適切かは異なります。専門家と相談しながら慎重に検討しましょう。

M&Aの主なステップ(売却側・買収側)

M&Aは、一般的に以下のプロセスで進行します。

  1. 準備段階:
    • 目的の明確化、事業の棚卸し、資料作成(会社概要、財務資料など)。
    • M&Aアドバイザーの選定。
  2. 相手探し(マッチング):
    • M&Aアドバイザーが持つネットワークやM&Aプラットフォームなどを活用し、条件に合う候補先を探します。
    • 秘密保持契約(NDA)の締結後、詳細情報の開示。
  3. トップ面談・条件交渉:
    • 候補先との顔合わせ、事業内容や理念のすり合わせ。
    • 売却価格や譲渡条件に関する交渉(基本合意書の締結)。
  4. デューデリジェンス(DD:買収監査):
    • 買い手側が、売り手企業の財務、法務、労務、ビジネス状況などを詳細に調査し、リスクを洗い出すプロセス。
  5. 最終契約・クロージング:
    • デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件を合意し、最終契約書を締結。
    • 資金決済、株式や事業の引き渡しなどを行い、M&Aを完了。

これらのステップは、数ヶ月から1年以上かかることもあります。焦らず、段階を踏んで進めることが重要です。

売却を検討する際のポイントと実践方法

「売却」と聞くと、廃業のイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。事業を次のステージへと繋ぎ、ご自身の新たな挑戦への一歩と捉えることができます。

売却の準備:何をどう整理するか?

売却を検討する際には、まずご自身の店舗の「価値」を正確に把握し、買い手から魅力的に映るよう準備を進めることが不可欠です。

  • 財務状況の可視化:
    • 直近3〜5年分の決算書、試算表、税務申告書、勘定科目内訳書を準備します。
    • 売上高、粗利益、営業利益、純利益、固定費、変動費などを正確に把握し、説明できるように整理しておきましょう。
    • 特に、オーナーへの役員報酬やオーナー家族の人件費など、一般の企業会計とは異なる部分があれば、別途説明資料を作成すると親切です。
  • 法的リスクの洗い出し:
    • 店舗の賃貸借契約書、従業員との雇用契約書、取引先との契約書、各種許認可証(飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店営業届など)を整理し、問題がないか確認します。
    • 労務関係(未払い残業代の有無、就業規則の整備状況など)も重要です。
  • 資産・負債の明確化:
    • 店舗の内装・設備、厨房機器、什器備品、在庫など、売却対象となる資産のリストを作成します。減価償却の状況も把握しておきましょう。
    • 借入金、買掛金などの負債も正確にリストアップします。
  • 強み・弱みの棚卸し:
    • 店舗のコンセプト、提供している料理の独自性、ブランド力、SNSでのフォロワー数、固定客の割合、立地、従業員のスキルや定着率など、売却先にとって魅力的だと感じられる点を洗い出します。
    • 一方で、改善点や課題(老朽化した設備、売上の季節変動、特定の従業員への依存度など)も正直に把握し、必要であれば改善計画を立てておきましょう。

売却価値を高めるための実践的なアプローチ

より良い条件で売却するためには、事前の準備が鍵となります。

  • 利益体質の改善:
    • コスト削減: 食材原価率、人件費、光熱費、家賃など、見直せるコストはないか徹底的に洗い出します。無駄をなくし、利益率を向上させることで、企業価値は高まります。
    • 収益力向上: 客単価アップの施策、アイドルタイムの活用、テイクアウト・デリバリーの強化など、売上を伸ばす具体的な取り組みを進めましょう。
  • 属人性の排除と組織化:
    • 業務のマニュアル化: レシピ、接客マニュアル、仕入れルート、日々のオペレーションなどを文書化し、オーナーがいなくても店舗が円滑に回る仕組みを構築します。
    • 人材育成と権限移譲: オーナーにしかできない業務を減らし、スタッフが主体的に動ける環境を整えます。これにより、買収後の事業継続性が高く評価されます。
  • 契約関係の整理と更新:
    • 賃貸借契約: 残存期間が短ければ、事前にオーナーと交渉し、長期契約への更新や名義変更の可能性について確認しておきましょう。
    • サプライヤー契約: 主要な仕入れ先との契約条件や継続性も確認しておきます。
  • 情報発信とブランド構築:
    • SNSやウェブサイトでの定期的な情報発信を通じて、店舗のブランド力を高めます。オンライン予約システムや顧客管理システムを導入し、顧客データを蓄積することも、無形資産として評価されます。

適切なM&Aアドバイザーの選び方

M&Aは専門的な知識が必要なため、信頼できるM&Aアドバイザーのサポートは不可欠です。

  • 飲食業界に特化した実績: 飲食店のM&Aは、独特の商習慣や評価基準があります。飲食業界でのM&A実績が豊富なアドバイザーを選びましょう。
  • 手数料体系の明確さ: 着手金、中間金、成功報酬など、手数料の体系が明確で、納得できる内容であるかを確認します。
  • 担当者との相性: 長期間にわたるやり取りになるため、信頼でき、本音で相談できる担当者を選びましょう。複数のアドバイザーと面談し、比較検討することをお勧めします。

買収を検討する際のポイントと実践方法

他店の買収は、自身の事業を大きく飛躍させるチャンスです。しかし、リスクも伴うため、慎重な検討が必要です。

買収の目的を明確にする

「なぜ買収するのか?」という問いに明確な答えを持つことが、成功の第一歩です。

  • 具体的な目的の特定:
    • 特定のエリアでの多店舗展開を狙うのか?
    • 新たな顧客層を獲得したいのか?
    • 未経験の業態に進出し、事業の多角化を図りたいのか?
    • 優秀な人材や、特定の技術・ノウハウを獲得したいのか?
    • 既存のサプライチェーンを強化したいのか?
  • シナジー効果の検討:
    • 買収によって、ご自身の既存事業とどのような相乗効果(シナジー)が生まれるのかを具体的にイメージします。例えば、仕入れの一元化によるコスト削減、共同でのプロモーション展開、人材の相互活用などが考えられます。
  • リスクとリターンの評価:
    • 買収によって得られるメリットと、それに伴うリスク(買収後のPMIの難しさ、簿外債務、従業員の離職など)を比較検討し、冷静な判断を下しましょう。

デューデリジェンスの重要性

デューデリジェンス(DD)は、買収対象となる企業の「健康診断」です。このプロセスを疎かにすると、M&A後に予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。

  • 多角的な調査の実施:
    • 財務デューデリジェンス: 会計士や税理士に依頼し、売上、利益、資産、負債の状況、簿外債務の有無などを詳細に調査します。
    • 法務デューデリジェンス: 弁護士に依頼し、契約書の妥当性、許認可の状況、訴訟リスク、知的財産権などを調査します。
    • ビジネスデューデリジェンス: 市場環境、競合状況、顧客基盤、ブランド力、将来性などを評価します。これはご自身やM&Aアドバイザーが主導します。
    • 労務デューデリジェンス: 社会保険労務士に依頼し、従業員の雇用契約、就業規則、残業代の支払い状況、労働紛争の有無などを確認します。
  • 隠れたリスクの発見:
    • 未払い賃金、過剰な在庫、老朽化した設備、不利な賃貸借契約、競合他社との紛争リスクなど、通常では見えない「負の遺産」を発見することがデューデリジェンスの最大の目的です。
    • DDの結果次第では、買収価格の再交渉や、M&A自体の撤回も検討する必要があります。

資金調達と事業計画

M&A後の事業の成功は、適切な資金調達と緻密な事業計画にかかっています。

  • 資金調達計画:
    • 自己資金: どの程度の自己資金を投下できるか。
    • 金融機関からの融資: 日本政策金融公庫、地方銀行、信用金庫など、M&A融資に積極的な金融機関を探しましょう。事業計画の具体性が求められます。
    • 補助金・助成金: 事業承継や創業に関する補助金・助成金も活用できる場合があります。
  • 買収後の事業計画(PMI:Post Merger Integration):
    • 買収はあくまでスタートラインです。買収後に、どのように既存事業と統合し、シナジー効果を最大化するかを具体的に計画します。
    • 組織体制: 新しい組織体制、人事評価制度、役職などを明確にします。
    • 業務プロセス: 購買、調理、接客、会計などの業務プロセスを統合・最適化します。
    • 企業文化: 異なる企業文化を融合させるためのコミュニケーション戦略も重要です。
    • 経営目標: 買収後の売上、利益目標を設定し、達成に向けた具体的な施策を立てます。

成功事例と失敗事例から学ぶ

M&Aは大きな決断であり、成功もあれば失敗もあります。具体的な事例から学び、ご自身のM&A戦略に活かしましょう。

成功事例:シナジー効果を生むM&A

  • ケース1:想いの承継による地域活性化
    長年地域に愛されてきた老舗和食店が、後継者不在に悩んでいたところ、その店に憧れていた若手料理人(オーナー)が事業承継しました。若手オーナーは、老舗の伝統的な味や技術を忠実に守りつつ、SNSでの発信や新しいテイクアウトメニューの導入で客層を拡大。老舗のブランド力と若手の行動力が融合し、地域コミュニティの中心としてさらに発展しました。従業員も安心して働き続けられ、まさに「想いの承継」が実現した事例です。
  • ケース2:多店舗展開による事業効率化
    すでに複数店舗を展開している外食チェーンが、特定エリアの人気イタリアンレストランを買収しました。この買収により、チェーンは新たな顧客層とブランドを獲得。さらに、既存の仕入れネットワークを活用することで、食材コストを大幅に削減することに成功しました。また、買収した店舗の優秀なシェフやマネージャーを、チェーン全体のメニュー開発や人材育成に活用し、全体のレベルアップにも貢献しました。

失敗事例:見落としがちな落とし穴

  • ケース1:デューデリジェンス不足による隠れた債務発覚
    ある居酒屋チェーンが、急成長している人気カフェを買収しました。急いでM&Aを進めたため、デューデリジェンスが不十分だった結果、買収後に多額の未払い残業代や、店舗の修繕積立金不足が発覚しました。これにより、当初想定していた買収費用をはるかに超える追加費用が発生し、資金繰りが悪化。最終的に事業の継続が困難になったケースです。
  • ケース2:従業員とのコミュニケーション不足による離職
    外食企業が別の飲食店を買収した際、買収前から従業員への説明や今後の雇用に関する具体的な情報提供がほとんど行われませんでした。買収後も、新しい経営方針や評価制度が一方的に伝えられる形となり、不安を覚えた従業員が次々と退職。結果として、店舗運営に必要な人材が不足し、サービス品質が低下、売上が激減してしまうという結果に陥りましたした。M&Aは「人」が重要な要素であることを改めて示唆する事例です。
  • ケース3:コンセプトのミスマッチと顧客離れ
    特定の客層に支持されていた個人経営のバーが、大手飲食企業に買収されました。大手企業は、効率化と画一化を進めるため、メニューや内装を自社ブランドに合わせたものに変更。しかし、それが既存顧客の求める「居心地の良さ」や「個性」を損ね、顧客が離反。結局、売上が伸び悩み、当初のシナジー効果は得られませんでした。

これらの事例は、M&Aを成功させるためには、事前の綿密な準備と、人間関係への配慮が不可欠であることを教えてくれます。

M&A・事業承継を成功させるための心構えと注意点

M&Aは単なる取引ではありません。そこにはオーナーの想い、従業員の生活、そしてお客様の期待が詰まっています。

専門家との連携の重要性

現場上がりの皆様にとって、M&Aは未知の領域かもしれません。独学で全てをこなそうとするのは、非常にリスクが高いです。

  • 信頼できるM&Aアドバイザー: 売却・買収戦略の立案、相手探し、交渉、クロージングまで、M&Aプロセス全般をサポートしてくれます。飲食業界のネットワークを持つアドバイザーを選びましょう。
  • 弁護士: 契約書の作成・レビュー、法務デューデリジェンス、法的リスクの助言など、法律面でのトラブルを未然に防ぎます。
  • 公認会計士・税理士: 企業価値の算定、財務デューデリジェンス、税務戦略の立案など、金銭面で正確な判断をサポートしてくれます。
  • 社会保険労務士: 従業員の雇用契約や労働条件、社会保険など、労務に関する問題を解決します。

これらの専門家チームを編成し、緊密に連携を取りながら進めることで、リスクを最小限に抑え、成功の確率を高めることができます。

従業員への配慮とコミュニケーション

M&Aは、従業員にとって非常に大きな変化です。不安や動揺を与えないよう、細心の注意を払いましょう。

  • 情報開示のタイミングと方法: 情報を開示するタイミングは極めて重要です。早すぎると不安を煽り、遅すぎると不信感を生みます。通常は、基本合意締結後、デューデリジェンスの段階で、従業員代表やマネージャークラスに、秘密保持を前提に開示し始めることが多いです。
  • 雇用継続と待遇の保証: 買収後の雇用継続の有無、待遇の変化、キャリアパスなどを明確に伝え、不安を解消することが重要です。買い手側とも事前に協議し、従業員の処遇に関する方針を決定しておきましょう。
  • 丁寧な説明と質疑応答の機会: オーナー自らが、M&Aの目的や今後の展望を丁寧に説明し、従業員からの質問に真摯に答える場を設けることが、信頼関係を維持するために不可欠です。

情報漏洩リスクへの対策

M&Aの情報は、従業員や取引先、競合他社に漏れると、事業に大きな影響を与える可能性があります。

  • 秘密保持契約(NDA)の締結: 相手方候補との間で詳細な情報交換を行う前に、必ず秘密保持契約を締結しましょう。
  • 情報管理の徹底: M&Aに関する資料は厳重に管理し、関係者以外への開示は最小限にとどめます。
  • 関係者への口外禁止: M&Aが完了するまでは、従業員や取引先、友人知人など、必要最小限の人物以外には情報を漏らさないよう、徹底しましょう。

まとめ

飲食店のM&A・事業承継は、決してネガティブな選択肢ではありません。むしろ、後継者不足という課題を乗り越え、ご自身の「想い」が詰まったお店の価値を次世代に繋ぎ、さらなる成長を実現するための戦略的な一手となり得ます。

売却を検討される方にとっては、ご自身の努力が形になり、次の人生を豊かにするための資金や時間を生み出す「出口戦略」となるでしょう。買収を検討される方にとっては、ゼロからの立ち上げでは得られないスピード感で、事業を拡大し、新たな可能性を切り拓く「成長戦略」となります。

若手オーナーの皆様が、日々の忙しさの中で、将来の選択肢について考える時間は貴重です。しかし、将来を見据え、今からM&A・事業承継に関する知識を身につけておくことは、必ず皆様の経営の幅を広げ、いざという時の助けとなるはずです。

一人で抱え込まず、まずは信頼できる専門家にご相談ください。私たちも、皆様の「想い」に寄り添い、最善の選択をサポートする伴走者でありたいと願っています。

詳細はお問い合わせください。

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